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入れたものは出します

【映画感想】ライチ☆光クラブ④

デンタク。私が一番好きなキャラクター。

彼は、多分自覚的にゼラを利用していた気がする。
デンタクの目的は、自分のプログラミングが人工知能を超えて人に近づくことだったから、ライチを物理的に設計し、そのために人を働かせることのできるゼラの能力を最大限利用して、その目的を達成させた。
ライチはデンタクの知能の結晶だったし、ライチに一番愛情を感じていたんだろうと思う。成長を素直に喜び、動きを制御するコントローラーを取り付けるときの心からの「ごめん」と、ただの破壊する機械と化したライチを救うかのように、リモコンを壊した表情、そして、自分の意思で動き、怒りにまかせて次々に破壊していくライチを前に、自分の作り上げた最高傑作に陶然としながら死んでいく。
ただ一人、デンタクだけが自分の目的を達成したのだとわかる、喜びに溢れた最期。
あの愛情のかけ方にシンパシーを覚えるし、ライチは、怒りだけでなく、恋を知り、楽しいと思い、歌い、ダンスをし、幸せな夢を見たのだと教えてあげたかった。
演じた戸塚純貴くんは、最近はゼクシィや保険のCMにもでてるけど、最初の出会いが仮面ライダーだったせいか、コメディのイメージがあって、表情が豊かなのが魅力だなと思っていた。でも、デンタクでなかなかのマッドサイエンティストぶりを発揮してくれて、今後にも期待。


攫われてきた美少女カノン。象徴としての美少女だけど、女の子というのは男の子よりもずっとロマンとリアルを同時に持てる存在だから、男の子の理想的なお人形にはならないんだよ、ていう典型だなあと。美しくて賢い彼女はゼラ達の前で絶対に目を開けないし、ライチを騙して逃げようと考えることもできるし、ライチに、人としてやってはいけないことを教えることができる。
ライチとの純愛と対照的なゼラへの態度や、タミヤを信用するなど、本質的な部分をきちんと見て、正しい方を選ぶ潔癖さを持つ彼女の前では、ゼラの過剰な自意識、少年たちに響いたカリスマも、彼女にかかれば醜悪で軽蔑すべき対象であり、そのように扱われたことは、きっとこれまでの誰からもうけたことのない、酷い仕打ちだったのではないか。
彼女は美しくて聡明で年相応に夢想家で、だからこそライチを愛せたし、自分を手にかけたライチを許せたのだろう。それが、決定的に少年たちと違う存在であるということ。
中条あやみちゃんは、今注目すべき若い女優さんの一人だな、と思っていて、しかしあそこまで行くとやや異形というか、人外の美しさだな、と思う。

 

ライチは、空っぽの器にどんどん知識を注ぎ込まれることと、人間であるというデンタクのプログラムと、カノンとの関わりで情緒が生まれ、無垢だが人間らしい感情と思考を持ったロボット。
彼の情緒の発達のすべてに意味があり、それが物語の主軸のひとつでもある。真摯で賢明な姿は、本当に愛おしくなる。
ライチをCGではなく、スーツアクターさんで撮影を行ったのは、本当によかったと思っていて、動きのぎこちなさに感情や情緒が乗っていく、というのは、スーアクさんが演じることによって生まれてくる物ではないか。

 

 

本当に長くなってしまったけれど、これは居場所のない子供達が居場所を見つけ、でも、その先の未来を描こうとしなかった、愚かな姿を描くファンタジーは、大人になった今だからこそ、その意味がわかる映画だったのではないか、と思っている。