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入れたものは出します

【映画感想】ライチ☆光クラブ①

どうしても感想が書きたかったのだけど、書いては寝かせ書いては寝かせしている間に、すっかり長く、しかも随分観念的な感想になってしまった。
ご興味のある向きはどうぞ。


私は大体の粗筋だけを知ってて漫画は読んでなくて、ていう感じの知識で見に行ったんだけど。
耽美的ではなかった。そこがとても良かった。町自体の汚れてくすんでどんよりとした空気と、その町よりなお暗い、秘密基地っていうのが、ここが底というか、澱みの底辺という感じがしてとても良かった。
外がどんよりと下世話で俗であればあるほど、澱みの底で、闇や歪みが純度を増していくというか。
その中で繰り広げられる、頭のいい愚かな少年たちが少年の美学故に愚かしく滅んでいく物語。
滅んでいく姿に、どんな美しい夢も悪夢も、現実という物理には否応なく、潰されていくのだと思い知らされる。

現実に居場所のない、9人の少年が持っているのは、大胆でささやかな子供っぽい野望。
これがとても子供っぽいことで、彼らのある意味の無垢さや純粋さが見えるなと思う。
誰もが陥りがちな、目的と手段が混同され入れ違い、逆転してしまっている彼らは、多分、すべてを支配するということがどんなことなのかもわからないまま、ライチを作りあげてしまうけれど、おそらく、ライチを作るという目的意識はみんなに昂揚感をもたらし、協力しあうという、いっそ楽しい時間だったんだろう。
秘密基地で巨大ロボットを作る。聞いただけでワクワクするフレーズだもの。
実際、ライチの仕上げに入ったときの熱っぽさやライチが動き出すときの昂揚感を全員が確かに感じていて、みんないっそ無邪気で楽しそうだった。

だからこそ、ライチができあがり、実際に動いてしまうと、どうしたらいいのか解らなくなったんじゃないだろうか。少女を攫ってくるのが目的となるけれど、それが大人を、町を支配するという目的に意味をもたらさない辺りが、ものすごい歪み。
歪みが捻れて、行き着いた先は嫉妬と猜疑と恐怖とが支配する小さな世界。
やがて圧倒的な物理によって壊されてしまう脆い夢想。

一方、ライチとカノンは本当に美しい純愛で、ただそれはとても幼く、なにかに似ているなと思ったら、ロミオとジュリエットだった。これが恋だと、愛だと知った瞬間にすべてを擲ってしまえる、これもまた無垢で純粋故に夢想的で愚かしい。
美しい少女という存在は、多分、少年たちには刺激が強すぎたのだろうな。だから破滅へ加速していったのかもしれない

もし、永遠にライチが完成せず、秘密基地の中で日々大人になり、やがて、広い外を知ることがあれば、それはひどく淫靡ででも輝いていて、いつまでもじっとりと心に残る、思い出になっただろうに。
それに、彼らが耐えられたかどうかは置いておいて。


お話の筋としては、いっそ単純なんだけれど、概念としての少年という存在の無垢と残酷と脆弱をファンタジックだけどリアルに描いた映画だったなと思う。

 

続きはキャラクターとキャスティングの話。長くなりすぎたので、 明日にわけます。